リベルサスはダイエットに効果ある?危険性や注意点を解説
医療ダイエットに使われることが多い医薬品「リベルサス」。リベルサスとはどんな薬なんだろう?と疑問に思う人も多いでしょう。
この記事では、リベルサスの効果について詳しく解説します。リベルサスの危険性や注意点も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
2型糖尿病の薬「リベルサス」とは?ダイエットで使われるようになった経緯も解説!
リベルサスはGLP-1受容体作動薬の一種です。GLP-1とは、小腸から分泌されるホルモンで、血糖値を調整し、食欲を抑える働きがあります。リベルサスは、ノボ ノルディスク ファーマ株式会社が開発した経口タイプの薬です。2型糖尿病の薬として開発されましたが、体重減少効果が確認されたため、医療ダイエットに使われることが増えました。
本来は“2型糖尿病の治療薬”として開発
リベルサスは、もともと2型糖尿病の治療薬として開発・承認された薬です。2型糖尿病とは、インスリンの働きが弱くなる、またはインスリンの分泌が不十分になることで、血糖値が高くなってしまう慢性の病気です。日本人の糖尿病の約90%以上がこの2型糖尿病で、中高年に多く、生活習慣と深い関わりがあります。
一方、1型糖尿病は、自己免疫反応により膵臓のインスリンをつくる細胞が破壊され、インスリンがほとんど分泌されなくなる病気です。
「体重が減る」という副次的効果が確認
GLP-1は、食事により分泌されるホルモンの一種で、血糖値のコントロールや胃の排出を遅らせて満腹感を高める作用があります。リベルサスには、このGLP-1に似た作用があります。
GLP-1を補うことにより、血糖値の改善だけでなく自然に食事量が減り、体重も減少する効果があることから、医療ダイエット目的でも活用されるようになったという経緯があります。
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日本では「肥満薬」としては未承認!
リベルサスは2型糖尿病の治療薬として承認されていますが、肥満薬としては未承認です。日本では体重減少を主目的とした使用は「保険適用外」となり、自由診療扱いとなるため注意しましょう。
なぜ血糖値のコントロールで体重が減るの?リベルサスで痩せるメカニズムを解説!
①脳に作用して自然に食欲が抑えられる
セマグルチドが、GLP-1というホルモンの働きを模倣し、脳の食欲中枢に作用します。これにより、自然と食欲が抑えられ、体重減少効果を発揮します。また、血糖値の急上昇を防ぐことで、空腹感の増加を抑える効果もあります。脳に作用して摂食を抑制するため、ストレスが少なく、リバウンドしにくいダイエット方法として注目されています。
②胃の動きがゆっくりになり満腹感が長続きする
リベルサスは胃の動きを抑える効果があります。食べたものが胃に長く留まるため、満腹感が持続しやすくなります。その結果、食事摂取量を減らすことにつながります。少量の食事でも満足感を得やすいため、健康的な食習慣の定着にも役立ちます。
③基礎代謝アップによって太りにくい体になる
リベルサスは基礎代謝を向上させる効果があります。また、インスリン分泌の調整を助けるため、糖質が脂肪として蓄積されるのを抑える働きがあります。これにより、エネルギーの消費量が増加し、脂肪を分解しやすくなるため、体重の管理がしやすくなります。
どのくらい痩せる?臨床研究を紹介!
リベルサスには、どのくらいの痩身効果があるのでしょうか?ここからは、臨床結果を紹介します。
臨床試験①PIONEERシリーズ
2型糖尿病患者を対象としたある試験において、14mg経口セマグルチドは、26週時点で HbA1cを優位に減少させ、その効果は試験終了の78週まで維持されました。HbA1cとは、血液中のヘモグロビンとブドウ糖が結合している割合を指す数値です。
※この試験結果は効果を保証するものではありません。
参考:2 型糖尿病治療剤 経口 GLP-1 受容体作動薬:経口セマグルチド(リベルサス®錠)の薬理学的特性と臨床試験成績
臨床試験②ノボノルディスクファーマ
リベルサスの3mg・7mg・14mgの3種類の薬剤を使った結果についても解説します。26週かけて行われた実験において、3mgは最大-1.5kg、7mgは最大-2.4kg、14mgは最大-4.4kgの体重減少効果が見られました。
容量 | 体重減少効果 |
3mg | 最大-1.5kg |
7mg | 最大-2.4kg |
14mg | 最大-4.4kg |
※上記のデータは効果を保証するものではありません
参考:リベルサス錠 3mg リベルサス錠 7mg リベルサス錠 14mg 2.5 臨床に関する概括評価|ノボ ノルディスク ファーマ株式会社
厚生労働省はダイエット目的の使用を認めていないって本当?リベルサスの危険性とは
医療ダイエットの薬として、リベルサスはさまざまな場面で使われていますが、実は厚生労働省から注意勧告がさています。どのような内容なのか確認しましょう。
①糖尿病の患者に薬が届かなくなる
リベルサスは2型糖尿病患者向けの薬です。美容目的でリベルサスを使う人が増えると、薬の在庫がなくなり、患者さんに届かなくなる恐れがあります。
実際に令和5年11月には、厚生労働省医政局医薬産業振興・医療情報企画課が事務連絡を発出し、医療機関や薬局等に協力を呼び掛けていました。
②「医薬品副作用被害救済制度」の対象外になる
厚生労働省は美容や痩身、ダイエットを目的とした適応外使用の安全性や有効性は確認されていないと警告しています。そのため、ダイエット目的でリベルサスを使用することは推奨されておらず、医療機関や薬局も適正使用に努めるよう求めています。
適正外使用をして万が一副作用が出た場合は、自己責任です。通常、薬を適正に使用して副作用が出た場合は医薬品副作用被害救済制度の給付を受けることができます。しかし、リベルサスを使った医療ダイエットの場合、適正使用ではないため給付は難しいです。医療ダイエットをする場合、デメリットも大きいため注意が必要でしょう。
リベルサスの副作用は?
リベルサスには、副作用があるため服用する際は注意が必要です。ここからは、リベルサスの代表的な副作用について解説します。
①吐き気・下痢・便秘
リベルサスには、蠕動運動を遅らせる作用があるため、吐き気、便秘、下痢といった消化器系の副作用が現れることがあります。特に、これらの症状は服用初期に出やすいです。
時間の経過とともに落ち着くことが多いですが、症状が続く場合は適切な水分摂取や栄養バランスの良い食事を心がけると改善されることがあります。便秘を防ぐためには、水分をしっかり摂り、食物繊維を意識して摂取することが重要です。腸のコンディションを維持し、便秘の予防に努めましょう。
②食欲不振
リベルサスは、脳の満腹中枢に働きかけることで食欲を低下させるため、食欲不振になることがあります。過食や暴飲暴食、無駄な間食を避けられるのがメリットですが、食事制限をすると低血糖のリスクが高まるため注意が必要です。
③頭痛・めまい
リベルサスには、頭痛が副作用として報告されており、低血糖症状の一種として考えられます。頭が締め付けられるような痛みを感じることが多いです。頭痛が出た場合、しばらく様子を見ましょう。もし症状がおさまらない場合は医師に相談しましょう。
④低血糖(まれ)
リベルサスには、インスリンの分泌を促進し血糖値を安定させる作用がありますが、まれに低血糖のリスクがあります。低血糖とは、血液中のブドウ糖の値が正常範囲以下に下がった状態のことです。
特に食事量が極端に少ない場合や、糖尿病の治療薬と併用している場合に起こりやすくなります。低血糖になると、冷や汗、動悸、めまいなどの症状が現れることがあります。これを防ぐためには、無理な食事制限を避けることが大切です。もし低血糖の症状を感じた場合は、すぐに砂糖の入ったジュースなどで血糖値を上げる対処をし、症状が改善しない場合は医師に相談することが必要です。
ダイエット目的でのリベルサスは保険適用になる?
ダイエット目的でのリベルサスに保険は適用されません。2型糖尿病の治療薬として使うなら保険適用されますが、ダイエット目的の場合は自由診療のため全額自己負担です。
ダイエット目的での使用は自己責任となることを知っておこう!
厚生労働省からは、GLP-1の適正使用に関する注意喚起がされています。美容や痩身目的で使用した場合の安全性・有効性は確認されていないこと、さまざまな副作用が認められていることを指摘しています。
GLP-1ダイエットによって、低血糖を起こし救急搬送されたケースもあります。リベルサスはもちろん、他の薬を使ったGLP-1ダイエットは、簡単に痩せられる夢の薬ではないため、注意が必要でしょう。
飲んでも「痩せない人」もいる?効果を感じにくい理由
ネットやSNSで、リベルサスについて「痩せない」「意味ない」といった意見を見ることもあるかもしれません。ここからは効果を感じにくい理由について解説します。
①リベルサスの正しい服用方法を守っていない
リベルサスは誤った使い方をすると、十分に効果が発揮されません。リベルサスの用法・用量を確認しましょう。
正しい服用方法
項目 | 内容 |
飲むタイミング | 朝一番の空腹時(起きてすぐ) 1回1錠 |
飲み物 | 水のみ(コーヒー・お茶・牛乳などはNG) |
水の量 | 約120ml以下(コップ半分くらい) |
飲んだあとは? | 30分間は何も飲食しない |
リベルサスは1日の最初の飲食前に服用します。こうすることで、胃の内容物によって吸収が低下することを避けられます。
1日に服用するのは1錠です。約120ml以下の水とともに服用します。飲食は30分後に摂るようにしましょう。
②食べ過ぎ&運動不足
リベルサスを飲んでいて効果が出ないと感じたときは、食べ過ぎや運動不足になっていないか確認しましょう。
リベルサスを飲んでいても、消費カロリーが極端に少ないと、思うように体重が減らない場合があります。筋トレを取り入れ、基礎代謝を上げることを意識しましょう。
また、食べ過ぎでカロリーオーバーしてしまうことも、効果が出ない原因の1つです。脂質や糖質の多い食事は避け、バランスの取れた食生活を意識しましょう。
③もともと太っていない
リベルサスは肥満体型の方には効果を発揮しますが、痩せ型の方には効果が出ない場合があります。なお、クリニックによっては、事前の問診で体重を確認してからリベルサスを処方する場合があります。自分はリベルサスを使っても効果が出るのか、カウンセリングで医師に確認することも一つの手です。
④まだ使い始めたばかり
リベルサスは、個人差はあるものの効果が出るまでに2~3ヶ月ほどかかることがあります。服薬してすぐに効果が出るわけではないため、留意しましょう。もし、効果がすぐに感じられない場合も、自己判断でリベルサスの服用を中止することはおすすめできません。リベルサスの効果が見られない場合は、医師に相談してください。
リベルサスに関するQ&A
リベルサスにジェネリックはある?
リベルサスにはジェネリック医薬品はありません。しかし、同じ成分の注射薬として「ウゴービ皮下注」や「オゼンピック皮下注」などがあります。
ウゴービ皮下注は、肥満症の治療に用いられるお薬です。オゼンピック皮下注は、2型糖尿病の治療に用いられる週1回の皮下注射薬です。
リベルサスで痩せすぎてしまうことはある?
リベルサスを服用を服用することで、急激に体重が減ることは少ないです。医師の指示に従い、用法用量を守って服用すれば、徐々に痩せられます。
併用NGの薬はある?
リベルサスと他の糖尿病治療薬を併用する場合は、注意が必要です。血糖値を下げる働きが強まり、低血糖のリスクが高まる可能性があります。リベルサスと他の薬を併用する場合は、医師に相談・確認しましょう。
ピルと併用しても良い?
リベルサスとピルは、一般的な用法用量の範囲内であれば併用が可能です。体重管理やホルモンバランスの安定に寄与する可能性があります。ただし、ピルと他の薬を併用する場合は、必ず薬剤師に確認しましょう。
服用後に二度寝はだめって本当?
リベルサスを服用した後は、二度寝を避けるようにしましょう。体内で血糖値の上昇が抑制され、一時的に低血糖状態に陥りやすくなります。発熱や動悸・震えといった症状が出ているにも関わらず眠り続けてしまい、重症化する恐れがあるため注意が必要です。
飲み忘れたときはどうしたらいい?
リベルサスを飲み忘れた場合は、その日は飲まずに、次の日に1回分飲んでください。2回分を一度に飲むのは危険なため、絶対にやめましょう。
リベルサスの服用中にお酒を飲んでも良い?
リベルサスを服用している期間は、可能な限りアルコールの摂取を控える必要があります。
また、リベルサスに限らず薬とアルコールを一緒に飲まないほうが良いです。薬の効果が下がったり、逆に効果が出過ぎて危険になる恐れがあります。
妊娠中に飲んでもいい?
妊娠中の方がリベルサスを飲むことはできません。また、2ヵ月以内に妊娠を予定する女性や、妊娠している可能性のある女性もNGです。これらに該当する方は、インスリンを使用することと定められています。
●リベルサスについて
【未承認医薬品等】 2型糖尿病の治療薬として厚生労働省に承認されていますが、肥満治療目的の処方については、国内では効能・効果への承認が下りていません。 【国内の承認医薬品等の有無 】 国内で「肥満治療」の効能・効果で承認されている、GLP-1製剤はありません。 【諸外国の安全等の情報】 リベルサスと同じ有効成分「セマグルチド」による抗肥満薬「ウゴービ」は、FDA(アメリカ食品医薬品局)、EMA(ヨーロッパ医薬品庁)などで抗肥満薬として承認されています。ただし、リベルサスは諸外国でも承認されていないため重大なリスクが明らかになっていない場合があります。急性膵炎、低血糖症状(冷や汗、気持ち悪くなる、手足の震え、ふらつく、脱力感)、嘔吐、腹痛、下痢、便秘といった副作用があります。 【入手経路等】 多くの場合、クリニックの個人輸入です。 |